親御さんの子どもとの関わり方

こんにちは!バイオリン講師のひかりです。

今回は、前回記事の「子どもが練習したくなる工夫」にも通じる内容です。
私がこれまでレッスンをしてきて感じていることは、結局のところ、お子さんが練習出来るようになるかは「親御さんの関わり方次第」ということです。

先生が生徒さんと関われるのはどんなに多くても週1回。
言うまでもなく、親御さんと過ごす時間の方が圧倒的に多いですし、家で練習を見れるのも大体親御さんだけ。
あまりプレッシャーを与えたくはないですが、子どもとの関わり方で悩んでいる親御さんもきっといらっしゃると思いますので、今回の記事が何かヒントになればと思います。

「褒めながら楽しく」練習に関わるお母様

幼児の音感教育本に記述されていたピアノレッスンでの事例「母親の素晴らしい着想」から一部抜粋してご紹介します。

感心したり、驚いたりしながら家庭ではどのような練習をしているのかと思いながら、指導していました。
ある時、ふと気づいたことは、バイエルの曲にも、バイエルの併用の曲にも、1つ1つの曲の初めの所に、色鉛筆でかいた、きれいな花が咲いているのです。
それも、ていねいに、花びらが、1枚1枚きちんとついているのです。
梅の花であったり、桜の花であったり、コスモスの花、菊の花・・・という風に、1曲毎に、ちがった花が書いてあります。花のまわりに、蝶が書いてることもあります。

「このお花の絵、とてもきれいね、C子さんが書いたの?」と尋ねますと、

「ママがかいたの。」という返事です。

「どうして、ママがここにお花を書いたの?」と再び尋ねますと、

「C子が弾くたびにね、とてもきれいに弾けたね。とごほうびに花びらを1枚ずつつけてくれるの。」とのことでした。

一言もお説教めいたことも言わず、欠点の指摘もせず「きれいに弾けたね。」と褒めながら、ごほうびに花びらを1枚かき添える。
これは素晴らしいアイデアです。

(出典:酒田冨治著「幼児の音感教育」、一部省略)

私もこれを読んで感心しました。
1回弾くごとにお母さんが絵を描いてくれるなんて、どれだけ子供にとって嬉しいことでしょう。
それも色をつけて色んなお花の絵を描いているところに、子供が飽きずに弾けるようにという親心を感じます。
さらに、一回一回弾くたびに褒めていることが何より素晴らしいです。

親御さんとしては、やっぱり練習していると色んなことを言いたくなると思います。
レッスンでもこういう所に気をつけて練習するんだよ。って私も言いますしね。

だけど、練習には苦なく繰り返し弾くことを定着させていくことがまずは必要で、それまでは余計なことはなるべく言わずに、まずは楽器を練習しようとした姿や過程をたくさん褒めてあげて、とにかく自信をつけさせることが大事です。

例えば、「自分から楽器を準備できたね!」「すぐに弾き始められたね」とか…

その後がうまく弾けなくたって良いんです。
どんな小さなことでも褒められるポイントはたくさんあるはずです。
そんなの出来て当たり前とは決して思わないでください。

子供は自信がつくと、こちらから言わなくても自分からもう少しやってみよう!となります。
そうやって気持ちが少しずつ乗ってきたときに、レッスンで注意された所に気をつけながら弾かせてみるといいと思います。

子どもの心の栄養となる時間に

子供はいつだってお父さんお母さんには笑っていてほしいし、お父さんお母さんのことが大好きです。
その大好きな人に褒められることは何よりも嬉しいはずです。

弾くたびに褒めながら絵を描いてくれる、そんなお母さんと過ごす時間はきっと子供にとって深い愛情を感じる時間になっていたと思います。

私が子供の頃、母との思い出でよく覚えているのは、勉強を教えてもらった時のことです。それも2,3回くらいしかないのですが、でもよく覚えています。それだけ記憶に残っているくらい嬉しかったんです。母親が自分のために一生懸命考えて教えてくれたことが。

親御さんがお子さんに深く関わることは、必ずお子さんの心のエネルギーになると思います。
心のエネルギーはたくさんある人ほど、練習や勉強も頑張ることができます。

その分、親御さんにもエネルギーが必要かもしれませんが、お子さんの成長をさらに豊にするためにも、バイオリンの練習時間がお子さんと深く関わる時間になってくれたら嬉しく思います。

バイオリンの知識

2022.8.3

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